東大生が京大生に憧れた話

自分にとって全カレは、競技に取り組む過程でたまたま手が届いた大会ではない。それは大学に入ってから箱根の次に出たいと心から願っていた大会だ。

 

 

全カレに出たいと強く思うようになったきっかけとなった選手がいる。京都大学の平井健太郎さんだ。

 

平井健太郎さんは京都大学在籍時の2014年、全カレ10000mで留学生選手と優勝争いを繰り広げ、僅差で2位に入った。当時高校3年生で部活を引退して間もなかった私は、毎月の楽しみだった陸上競技マガジンをぱらぱらとめくる中で、大きな記事の中に書かれる「京都大学」の文字に目を奪われた。記事を書く記者の好奇と興奮がビリビリと伝わってくるような記事だった。

京都大学」も「東京大学」も、陸マガの大記事の常連客ではない。まして天下の京都大学だ。実力の伴わない東大受験に挑戦していた私には、東大と肩を並べる存在である京大がどれほど入るのが難しい大学か、その輪郭はおぼろげながら感じていた。

入るのも困難な大学で、駅伝強豪校の選手を差し置いて全国優勝争いをする。中高で自分なりに必死に練習してもやっとこさ全国に出れるレベルになれた程度、学力もまだまだ最難関大の足元にも及ばない程度の自分にとって、平井さんはフィクションの世界から飛び出してきたような存在だった。強さと賢さを両方兼ね備えた理想の競技者の姿をそのまま体現した人間が、同じ時代、同じ世界に実在していることに衝撃を受けた。もしその時胡散臭いカルト宗教に胡散臭い勧誘文句を聞かされていたら、信じて加入していたかもしれない。

平井さんは記事の向こう側から、私が進む道に輪郭と奥行きを与えてくれた。可能性で枠づけられた輪郭と、チャレンジと困難さで掘り進められた奥行きだ。箱根駅伝にしか興味がなかった私だが、東大で全カレにも出場して活躍したい、と強く思うようになった。これは自分に与えられた使命だと勝手に思い込んだ。私の全カレへの道は平井さんによって導かれたと言っても過言ではない。

 

全カレを目指す中でずっと追いかけ続けてきた影は、今の自分には到底手が届かない遠い先にある。手が届くまでずっと追いかけ続けたくもあるが、そうも言っていられないのが学生スポーツだ。これが最初で最後の全カレである以上、レースが終わってしまえばもう「全カレで平井さんを超える結果を出す」という目標を達成することはできない。未完成のパズルを置き去りに、新しいパズルの完成に向けて前を向くことしかできない。

それでもー理想の姿になれなくてもー自分が東大生として全国で強豪校の選手と共に走る姿を見せることで、どこか知らない土地の知らない人に何かを感じ取ってもらえたらと願う。自分には他人に衝撃を与えるほどの実力も影響力もないので、こんな思いは自惚れかもしれない。それでも、自分が平井さんに影響を受けたように自分も誰かに影響を与えたい、という自惚れにも似た思いが自分に力を与えるのであれば、私は自惚れることをやめない。

 

進む先にある自分自身の目標に少しでも近づくと同時に、自分の後ろにある進んできた道程が他人にとっても意味のあるものになるような、そんなレースができればと思う。

7/4(日)岩手県選手権5000m反省

【結果】

5000m 14’29”81 優勝

1000mlap: 2’49-2’55-2’55-2’59-2’49

 

10000mと合わせて2冠を達成しました。

 

【目標】

優勝、2冠達成

 

優勝にこだわっていた理由は3つ、

①就職後、走れる?

 来年就職してから、県選で優勝を狙うだけのトレーニングができるか全くわかりません。ジョグはかろうじてできるかもしれないし、あるいはジョグすらできないかもしれない。環境が変わっても自分がやりたいことを続けられるかということに対する一抹の不安が優勝への思いを強くしました。

 

②一般を含めた「名目上の」県No.1を決める大会

 中学・高校と県大会で何度か優勝を経験してきました。ただ、それは「中学生」「高校生」という限定されたカテゴリーでのNo.1を経験したにすぎません。一人の長距離選手としては、世代の垣根を越えた真のNo.1になりたいという気持ちをずっと持ち続けてきました。

 岩手県出身の選手が全て一堂に会するわけではないので、「名目上の」県No.1を決める大会、という言い方にはなりますが、名目上であれ何であれその称号を得たい気持ちは強かったです。

 

③「東大生として」優勝することの意味

 箱根駅伝を経て、「東京大学」の肩書を持って大会で結果を出すことが見ている人に少なからずインパクトを与えることに気づきました。岩手県選手権に東大の選手が出場したことは過去を遡っても数える程度しかありません。県選手権においてある意味イレギュラーな存在である東大生が優勝すれば、県内の人に少なからずインパクトを与えることができるのではないか。

 強くなるためには強豪校に行かなければならない、難関大学に行くなら競技は諦めなければならない、受験と競技はトレードオフな関係で両立できない…。そういった固定観念は、最近では少しずつ解消されつつありますが、岩手県などの地方部ではまだ根強く残っているように感じます。

 これから様々な人生の選択をする中高生、あるいはまだ選択など先の小学生が、他人が作り上げた固定観念という幻想に縛られ、自ら選択肢を減らしてしまう状況は変えていく必要があると思います。東大生として県選で優勝することで、今自分が見ているよりも選択の幅は広い、ということに気づくきっかけを少しでも与えられれば、という思いを抱いていました。自惚れかもしれませんが。

 

【身体の状態】

 2日前に10000mを走っていたので臀部と肩甲骨周りに多少筋肉痛が残っていましたが、走ってみるとそれほど気にならず、むしろ全身に刺激が入って身体が動かしやすく感じました。5月の関カレでハーフ3日後の5000mも経験し何とかなったので怖いもの知らずです。

 2日前に微妙に嚙み合わなかった動き(接地のタイミング)もレース翌日時点でかなり修正されており、足先から頭の上まで、全身の動きに統一感を感じました。

 

【レース展開】

 10000mの疲労も考慮して後半まで前に出ないコバンザメプランを立てていましたが、自重しすぎてスタートで出遅れ、かなり後方から始めることに。ホームストレートで一気に先頭の後ろまで追い上げ、あとは一関学院の選手が数名で交代しながらペースを作る形をとっていたので、それにぴったりくっついて乗っかるだけでした。今季は14’10~20辺りでコンスタントに走れていることもあり、3000m通過8’30くらいまでは十分に対応できるようになったので、1周70秒ペースでついていく展開はかなり自分に有利でした。

 自己ベスト14’08を持つ高校生をずっとマークしていたところ、3000mを過ぎたあたりから徐々にペースが落ち始め、代わりにそのチームメイト(僕の8つ下!)が先頭に出て引っ張る展開に変わりました。途中4人だった先頭集団はここで2人に。コバンザメを演じ切る強い意志を持った私は、ラスト勝負にはあまり自信がないものの、前を走ってくれる8つ下の動きと表情に余裕がないと思い、ラスト1周の鐘の音が鳴ってもまだコバンザメを貫きました。ラスト300mで満を持して脱コバンザメ。意外と動きにキレがあり4秒ほど差をつけて勝つことができました。

 

【反省】

 とりあえず勝つことができて良かったです。多少の暑さも感じる時期に10000mと併せて2種目出場する日程は楽ではありませんでしたが、そのような日程と練習の流れの中で、14分半を切って勝てたことは素直に嬉しいです。昨年までの自分では取れない順位、出せない記録でした。

 条件が違うので単純比較はできませんが、上り調子だった5月の関カレ5000mが14分半でほぼ同タイムだったことを考えると、最近はそこまで調子が良いとは感じないものの、底上げと状態の改善が進んでいると思います。

 今回はペースを作ってもらって最後までついていくだけの展開でした。自分でペースを作って14分半を切っていた自信はありませんし、疲れたところで並ばれても勝ち切るだけの心の強さもありません。今回は完全に強い高校生に「胸を借りる」レースだったと思います。

 

【県選手権】

高校1年(2012/6/22-24)3000mSC 10’26”58 / 5000m(3000m9’45DQ)

高校2年(2013/6/21-23)5000m16’26”56 / 10000m不明

高校3年(2014/6/27-29)5000m14’50”96(2位) / 10000m30’51”69(3位)

浪人1年(2013)不出場

大学1年(2016/6/24-26)5000m14’53”35(4位) / 10000m31’52”26(2位)

大学2年(2017/7/7~9)5000m15’43”06 / 10000m34’08”21

大学3年(2018)不出場

大学4年(2019)不出場

院1年 (2020/7/24-26)10000m33’37 / 5000mDNS

院2年 (2021/7/2-4)10000m30’57”97(1位)/ 5000m14’29”81(1位)

 

 改めて数えたら出場回数は7回でした。そこそこの結果を残せたのは高校3年と大学1年、それ以外は疲労骨折だったり重度の貧血だったりでボロボロな走りしかできていません。留学生選手に周回差をつけられて人生初の途中失格を食らった高校1年の県選は未だに脳裏に焼き付いています。

 こうして見返してみると、貧血持ちの自分にとって暑いこの時期の県選は鬼門でした。高校2年、大学2年、院1年は6月上旬までは練習はそこそこ積めて状態が良かったものの、暑くなりだしてから急激に調子が落ち始め、貧血の状態でいざスタートという状況。大学3年は春先の太もも疲労骨折の影響でスタートラインにすら立てませんでした。

 毎年体調管理に苦しみ貧血で調子が落ちる苦手なこの時期を克服して、結果を残すことができました。タイムは平凡ですが、少なからず成長した姿を故郷のレースで披露することができて嬉しいです。

 

【今後】

 2冠を達成して県選に心残りなし…となると思っていましたが、これを書いているときにはすでに2冠連覇に気持ちが向いている自分に驚いています。来年以降継続して出場できるかは読めないですが、何とか都合をつけてトレーニングを継続し、勝ちを重ねていきたいです。

 直近では今月下旬に関東学連の網走競技会(勝手に学連ディスタンスと呼んでいます)の10000mに出場します。今の自己ベスト(29’20”8)では全カレのターゲットナンバーではじかれてしまう可能性が高いので、28’50を記録して全カレ出場の可能性を少しでも高めたいです。

7/2(金)岩手県選手権10000m反省

 

地元での県選手権に出場してきました。暑かったです:)

 

【結果】

 

30’57”97 1着

1000mlap; 2’55-3’00-3’02-3’03-3’04-3’10-3’12-3’15-3’12-3’04

 

湿度の高さにやられ、前半の勢いを後半まで維持することができませんでした。最低限優勝は確保。

 

【目標】

 

優勝&29分台

 

今大会は高校時代から数えて通算9度目の出場。優勝を目指してからは8度目の10000mでした。学生最後の県選なので記録よりも優勝が欲しかったです。しかしレース直前にマークしていた選手が欠場&状態が悪いことを聞き、月末の学連ディスタンスに向けて一人でキロ3のペースを刻んでいく目標に切り替えました。

 

【レース展開】

 

スタート直後から終始単独走でした。そもそもの出場人数が9人と少なかったので、周回差をつけた選手を目標に追いかけても周りに誰もいない状況で走り続けるフェーズが多く、かなりきつかったです。キロ3までペースを上げたいものの、キロ3よりちょっとかかるといった感じでうまくリズムに乗り切れず、オーバーペースで5000m以降ズルズルとペースダウンしていってしまいました。ラスト1周を29’50で通過し、31分はかけたくなかったのでもがきながらスパート、滑り込み30分台。

 

【反省】

 

6月頭の個人選手権以降、7月下旬の記録会に向けて走り込みを継続している中でのレースだったので、調子は若干下降気味でした。

 

「調子が良くない」と一言で片づけてしまっても何も解決できないので良くない部分を現状わかる範囲で詳述すると、

 

〇走りが浮く(脚が空回りする感覚?)

 現状これに尽きます。たまにあるのですが、調子が良くないと感じる時はだいたい接地の感触がイマイチで、地面からの反発が返ってくるタイミングに若干のズレを感じます。地面から力が伝わってくるタイミングが身体が待ってるタイミングと嚙み合わず、脚の動きがうまく作用せずにスカッと空回りしてしまう、とでも言いましょうか。

 

どこの動きがどう悪くて、と本当に細かいところまで突き詰めようとすると言語化能力が足りていないのでこれ以上原因を詳述できませんが、だいたいいつもはジョグの中で「なんか違う」「たぶんここをこんな感じで」といった具合に感覚の試行錯誤を繰り返していれば、その日に修正しきれないこともあるにせよ翌日には動きが良くなっていることが多いです。今回はちょっとその修正作業に時間がかかっています。

 

おそらくは足部の接地位置の問題だとは思うので絶賛修正中です。前傾の角度、腕の畳み方、振る大きさ、胸郭の動き、股関節との連動制、骨盤の位置などなど、接地のタイミングに影響すると思われるチェック項目は盛りだくさんなので、2日後の5000mに向けて少しでも修正していきたいです。

 

〇スパイクの影響?

 レースの中で走りが微妙に浮いていた原因として、スパイクの影響もあるんじゃないかと少し考えています。昨年の12月からトラックレースではナイキのドラゴンフライを使用しています。zoomXの高反発性能を活かし、速い走速度でも脚の回り方に余裕が生まれる非常に優秀なスパイク。今や5000mを2’50ペースで回すことを可能にしてくれる頼れる相棒です。

 

ただ一方で、今回のレースのようにキロ3まで走速度を落としてしまうと、高い反発が上向きに流れてしまい、進行方向への推進力が得られなくて「浮く」ような動きになるのではないか?

トップレベルのスピードを持った選手でも、一見すると上下動の少ない動きをしているように見えますが、動作解析をすると実際には結構上下動をしている、というような話を、以前運動生理学専門の研究者の方に聞いたことがあります(理解が間違っていたらすみません)。走速度が高いので進行方向に流れる力の成分が大きくなり、結果として上下動が大きくても前に進む推進力になっている、ということです。

 

この話を参考に、現状キロ2’50くらいの速度帯が一番ドラゴンフライを使いこなせていて、キロ3だと進行方向への成分が足りずドラゴンフライの良さを全く活かせない、と理解しています。特に3’10近くまでペースが落ちてからは、(もちろん自分の実力不足もありますが)ドラゴンフライがむしろ足枷になっていたのではないか?

以前ナイキのマトゥンボを履いていた時も「これを活かせるだけのスピードを出せない」と思い、うまく使いこなせていないと感じたので、マトゥンボもドラゴンフライも上級者向けだな、ということを実感しています。

 

ドラゴンフライを活かせるくらいの走速度でも10000mを走れるくらいにレベルアップすればまた次のステージが見えてくると思います。まだまだ精進が必要です。

 

【次】

日曜日の5000mに出場します。市民ランナーも高校生も強力な選手が集まり、自分が知る限りでは過去最高レベルのレースになることが予想されるので、しっかり状態を整えて勝利をもぎ取りたいです。

6/5(土)日本学生個人選手権5000m反省

こんにちは。最近は暇さえあれば来年どこの街に引っ越そうか考えています。確実に一人暮らしを想定していない高級物件を意味もなく調べて実現しえない世界線での生活を想像するのが楽しいです。直後に激しい虚無感に襲われるのでおススメはしません。

 

さて、土曜日に大学初の全国大会である日本学生個人選手権に出場してきました。

 

【結果】

5000m1組目

14’12”39 2nd Best 組11着、総合29位

1000mlap: 2’48-2’49-2’56-2’49-2’50

400mlap: 66”3-67”7-67”5-67”2-68”9-70”2-69”9-68”5-67”6-69”0-68”4-67”9-32”9

 

終盤まで先頭集団について5~6番手を走っていましたが、ラスト600m以降周りのスパートに全く対応できず、最終盤でズルズル順位を下げる結果になりました。

 

【目標】

組5着以内

 

記録よりも勝負にこだわりました。今回から出場標準記録が14’10に上がったことで組の中の持ち記録上の実力差はかなり小さかったので、単純な走力以上に位置取りやレースプランなどの戦略が勝敗に大きくかかわってくると考えました。

 

【練習】

5/24 Rest

5/25 15kjog(avg4’09)

5/26 15kjog(avg4’09)

5/27 up 6kjog+300*5(r150)+down 6kjog

5/28 Rest

5/29 1500(4’30)+4600(4’00/k)+4600(3’30/k)+4000(3’00/k)

5/30 10kjog(avg4’27)

5/31 14.5kjog(avg4’26)

6/1 10.5kjog(avg4’08)

6/2 11kjog(avg4’31)+about400*5(R1’) 62-68-68-68-68

6/3 12kjog(avg4’26)

6/4 8kjog(avg4’19)

 

関カレ後からの2週間は疲労抜きと動きのキレのバランスをとるのに労力を割きました。ほぼジョグだけ、動きが整ってきたあたりで強めの流しくらいのイメージでショートインターバルを入れて動きのキレを保つ組み方。日常的に座って作業する時間が増えた影響で背中が固まり、全身の動きの調和がとれていない感覚が一日おきくらいにやってきたことだけがレースに向けた不安要素でした。ただ、原因ははっきりしていたので背中をほぐす時間を長くとってうまく整えていきました。

 

うまく整えたとはいえ、今年は身体の仕上がりが例年より早くて4月から好調を保ってきていたので、関カレが終わって一気にピークアウトした感じがあり、絶好調とは言い難い状態でした。うまくハマって14’10くらい、ダメなら14分半くらいの見込み。13分台はさすがに出せない。

 

【レースプラン】

速くても遅くてもいつでも先頭に立てる位置でレースを進めようと計画していました。先頭集団にぴったりくっついて最後まで引っ張ってもらうコバンザメ作戦。

 

【レース展開】

計画通り先頭集団についたおかげで日本学連のyoutube動画

https://www.youtube.com/watch?v=f2bSwtZMbnQ

の終盤までしっかり映っていました。持ち記録14’00~14’10くらいの選手が集中していたので集団が膨らんで走りにくくなると想定していましたが、人数が関カレほど多くなかったこともあり、位置取りがスムーズかつ安心してキープできました。2000-3000でちょっと先頭のリズムが落ち、3000からのペースアップで一度差が開きかけたものの持ちこたえ、ラスト600mからの切り替えに対応できず5人に抜かれて11着ゴール。

 

【振り返り】

〇良かった点:調整、位置取り

×悪かった点:スパートの切り替え

 

〇調整

関カレからの2週間の調整がうまくいったと思います。

ハーフと5000mを走った影響はさすがにごまかせず、レース3日後くらいから左足首の外頸骨の古傷の疼きと両膝のぐらつきでうまく走れなくなりました。主原因は疲労、両膝のぐらつきは大腿部の張りに起因していると思ったので、思い切ってジョグの量を減らし、レースまでに計画していたポイ練もほとんど取りやめました。結果としてアプローチの仕方が的外れではなかったようでしっかり状態を修正することができたので、ようやく自分の身体のことが分かってきたなという実感を得ています。

 

〇位置取り

レース中の位置取りが良かったです。一番内側からのスタートで、押し合いへし合いを制する自信はあまりないので、うまく前の方に抜け出せない不安がありましたが、思い切っていつもよりスタートダッシュに力を入れたことで理想通りのポジションに着けました。先頭から二人くらい後方、1レーンの外側が、先頭の動きにリズムを合わせて楽ができ、動きの変化にもすぐに対応できるので個人的にはベストです。3000mから少し離れ始めたときにも冷静に間を詰めていけました。

 

×スパートの切り替え

いつも通りの弱点が露呈しました。ラスト1周66秒もかかったらそりゃあ6人抜かれもするよな、という感じです。そこまでの余力云々の話でもあると思いますが、一定のペースで身体が馴染んだ後に動きを切り替える動作が鈍いことも一つの原因である気がしています。速いペースの中で動きを使い分けるトレーニング、例えば変化走やビルドアップが有効なのでしょうか。ハーフを見据えた、一定ペースでひたすら我慢する動きばかり追い求めてきたので、トラックでの勝負強さに直結するスパート力を伸ばすトレーニングが不足していると感じます。

 

【総括】

ちょうど先日の関カレ5000mの反省ブログに「最近の調子なら状態を整えれば14’10までは持っていけそう」と大口を叩いていたので14分半とかかかったら赤っ恥だな、と内心ビクビクしていましたが、自分の見積もりは間違っていなかったとホッとしています。現状からタイムを予測する能力への自信を深めました。

 

また、昨年の冬に記録した14’05”87の自己ベストがフロックではなかったことをようやく示せたことにも安堵しています。

 

昨年からの5000mのレース結果は以下の通り。

2020年12月6日日体長14’05”87(PB)

2021年3月26日院カレ14’51”9

2021年4月17日早稲田14’19”25(3rd Best)

2021年5月4日東海大14’22”92

2021年5月23日関カレ14’30”18

2021年6月5日個人選14’12”39(2nd Best)

 

安定した記録で走れるようになり、3rd Bestまでの平均タイムも徐々に上がってきているので成長を実感しています。学生のうちに上位3つ平均14’05くらいまで持っていけたら嬉しいです。

 

勝負を意識したレースができる寿命はたぶん記録を意識したレースができる寿命よりずっと早く訪れると思っているので、勝負に気持ちを燃やせるうちに勝負強さを身に付けて勝負に勝つ経験をしたいなと思います。

 

【今後】

レース続きで5月はあまり十分にトレーニングができていなかったので、これから1か月半は鍛錬期に充てる予定です。7月後半のホクレンディスタンス学連ディスタンスで記録を狙います。全カレの出場人数がかなり絞られ、場合によっては最低限10000m28分台、5000m13’50は持っていないと出場すら危うい可能性があるので、あと1か月半で一皮むけられるように鍛錬したいと思います。7月頭の岩手県選手権にも出場予定です。

5/23(日) 関東インカレ5000m反省

阿部です。エビフライは尻尾まで食べますが海老天の尻尾は残します。

最近就活を終わらせました。5月の後半は就活・修論構想発表の準備・ゼミの発表×2・関カレ・地元の大会の準備とやることが多くて時の流れが速かったです。

 

他のことにかまけて更新が遅くなりましたが、先週の関カレ5000mの振り返りをしていきます。

 

【結果】

 

5/23(日)5000m

14’30”18 3部2位/2人中(2,3部総合24位/出走41人中)

 

1000mlap: 2’49”9-2’51”0-2’54”2-3’00”8-2’54”4

400mlap: 70”3-65”5-67”8-68”7-68”4-69”4-72”3-72”1-72”9-74”1-67”7-32”7

 

ラストのスパート勝負に負け、目標の3部優勝は達成できませんでした。

 

【目標】

 

古川さんに勝って3部優勝

 

千葉大院の今江くんが欠場すると聞いたので、今やチームメイトである古川さんに勝って3部優勝、ハーフと合わせて2冠を達成することを目標に据えました。ハーフの疲労はほとんど感じていなかったものの、前半からアクセル全開でいって後半耐えるレース展開に身体が対応できるかは懐疑的だったので、終盤まで古川さんの前を走らずスパート勝負に持ち込む算段でした。

 

【レース展開】

66秒前後で進むようなハイペースを想定していたので、スタート直後から全体のリズムがかなり遅く感じました。後方の集団が膨らんで走りにくかったのでいつもより積極的に前へ。古川さんが1000mくらいまで先頭を走る想定外の事態に直面して「追いかけないとマズイ」と焦りを感じたことも一つの要因です。

さすがにヴィンセント他留学生選手と強豪校の選手が放ってはおかず、2’50を切るペースまで上げたことでちょっとずつ古川さんがペースダウンしてきたので、あとは追いついてひたすら後ろをついていくだけでした。

ラスト500mあたりで前を走る数名の選手に追いつき、そのまま追い越すかと思いきや一息つこうとしている様子を走りのリズムから感じられたので、勝機はここだと判断してスパート。終始他の選手の後ろで余力を残しながら走ってきた分、自分の方が分があると思いましたが、甘かったです。スパートをかけた直後にすぐに対応しているのが見え、弱気になって攻めきれない中途半端なスパートになってしまいました。ラスト200mからのスプリント勝負に負けて2秒差でゴール。

 

【振り返り】

感情論を抜きにして見れば、ハーフ中二日でちゃんと「レース」と呼べる内容で走れたのはそれなりの走力と身体の丈夫さ、状態を見極めて修正する力の現れかなと思います。学部4年間自分なりに頑張ったつもりでも、絶好調時の14分35秒までしか伸ばせなかったことを考えると、今回のように手負いの状態、勝負に徹したレースを14分半で走れるなんてずいぶん成長したなと感じます。

 

自分の身体能力的な部分での課題はたくさんありますが、今回はレース展開を優位に持っていけなかったことが一番の課題であると感じています。古川さんと走力面で大きな差はなく、自分の方が勝負強さという面で一歩遅れを取っていると見ているので、タイマンで勝つにはレースの中で自分の得意な展開に持ち込んでいく必要があります。

自分の走力面での特徴と強みを活かすのであれば、

・ハイペースで飛ばして逃げ切る前半勝負の展開

・ラスト2000mで仕掛けて突き放すロングスパート勝負の展開

のいずれかが良かったのではないでしょうか。

いずれにせよ勝負をレースの最終盤まで持ち込まず、早々に決着をつけることが必要でした。3月の院カレと同じような負け方をしてしまったのは悔しい限りです。

 

対校戦や選手権から長く離れているので、記録に目を向けず勝負に徹するレースの中での駆け引きの奥深さと楽しさを改めて実感しています。

 

【今後】

今週末の個人選手権5000mに出場します。学部生も院生も区別なく総合順位がつけられるレースなので、次は組全体での順位を意識したレースにします。組5着以内が目標です。

 

【総括】

ハーフは5000mのレースを意識して余力を残し、対校得点を確実に取ることに主眼を置いて走ったので、限界まで追い込んでいればハーフ換算64分半くらいで走れたと思います。箱根予選会で62分台を出せるように練習を積んでいきます。

 

5000mは春先から14’20~30あたりをうろついているのでまだ13分台までは距離を感じています。最近の調子なら状態を整えれば14’10までは持っていけそうです。14’10台をコンスタントに出せるようになればコンディション次第で13分台も見えてくると思うので、個人選が終ったら6~7月を使ってスピード強化に努めていきます。

5/20(木) 関東インカレハーフマラソン反省

関東インカレの3部(大学院生の部)に出場しました。

 

【結果】

5/20(木)ハーフマラソン(20.8km)

65’08  3部優勝/1人中(2,3部総合31位/50人中)

 

ハーフマラソン換算66’03(avg3’07/km)で目標としていた大会新記録相当でした。

 

【目標】

3’10/kmペースで押して大会新相当

 

3部の出場者が自分一人だったので、大会記録の更新を目標にしました。直前に会場が変更になり、非公認で距離も20.8kmに変更されたので記録を形として残すことはかなわなくなりましたが、目指す水準に変わりはありませんでした。

 

【レース展開】

 

距離が長くしかもとにかくアップダウンが激しいコースなので、多少遅れてもいいからマイペースで走ろうと決め、スタート直後から最後尾へ。ほとんどジョグみたいな力の入れ方でも集団の流れに乗ったことで最初の3キロは3’08-3’00-2’58(手元)と想定より速いラップで刻めました。アップダウンを経て3キロ過ぎから徐々に集団が割れ始めたので後ろの方に待機し、3’10を切るくらいのペースに落ち着かせてあとは淡々とリズムを刻みました。上り坂は少し頑張る必要があったものの、平地ではほとんど力を使わず動きだけでスルスルと前に進む感覚。5キロ以降最後までずっと、前から落ちてくる選手をひたすら追い抜いていく展開だったので、リズムを維持できて走りやすかったです。

 

【振り返り】

 

3日後の5000mのことを考慮して控えめなペース設定にしていました。結果としてコースの特性や自分の状態も加味すると最善の戦略だったと思います。3’10を切るくらいのペースなら余裕をもってハーフを走れるくらいの走力が身についていることが確認できました。

9月まではトラックで結果を出すためにスピードの強化に主眼を置いており、春先から高強度トレーニングを中心にトレーニングを組み立ててきたので、ハーフを見据えた練習は週末の30kmjog以外特に取り入れてきませんでした。2’50を切る速いペースでのトレーニングとレースをこなしてきたことで3’00~10くらいのペースにかなり余裕を持てるようになったと思います。

 

課題は臀部の強化。レース終盤、アップダウンの影響もあって臀部で走りを支えるのがつらくなり、若干のペースダウンにつながりました。スピードレベルを上げる上でも重要な改善点なので、引き続き強化に努めていきます。

 

【おまけ】

朝7時半スタートと今まで経験した中でもダントツで速い時間のレースでした。体が思うように動かなくても仕方のない時間帯ですが、1週間前から夜20時就寝、2時半~3時頃起床の生活リズムに切り替えていたおかげでしっかり身体が動いてくれました。

 

2時半起きの生活は意外と悪くなかったです。朝(というより最早夜中ですが)にまとまった時間が取れると、授業の準備や研究や事務作業がいつもより捗って生産力が上がりました。さすがに2時半起きはやりすぎなので今後続けるつもりはありません。早起きして頭を使う習慣は続けていきたいところです。

 

 人生初のよみうりランドハーフマラソンを走ることになるとは夢にも思いませんでした。パーク内のどんなアトラクションよりも刺激的で楽しい時間を過ごせたと思います。次に足を運ぶ時には普通の遊び方をしたいです。

 

後ほど最終日の5000mの反省もあげます。

5/4(火) 東海大記録挑戦会反省

当初出場予定だったGGNの代わりに、東海大記録会に出場しました。開催してくださった東海大学の皆様、ありがとうございました。

 

【結果】

14'22'92 3rd best 11着

1000mlap: 2'47-2'48-2'50-2'55-3'00

見込み目標タイムより約10秒遅い結果でした。

 

【目的と目標】

目的:速いペースで進むレースの経験を積む

約2週間前の早稲田競技会同様、13分台を狙う速い集団の中で走る経験を積んで今後の関カレ、個人選手権、全カレにつなげていくことを目的としていました。

 

目標:14'10~15、古川さんに勝つ

前回の早稲田競技会での課題点を踏まえ、

・十分な睡眠(夕方のレースだったので生活に余裕が持てました)

・集団での位置取り

に気を配りました。

レース3日前時点であまり調子が良くなく感じ、練習の流れで臨む方針に切り替えたので、そこまで高望みはしていませんでした。連休のおかげで前回よりも体調を整えられたことを踏まえ、前回の14'19より少しタイムを上乗せした見込みでの設定目標です。

院カレで負け、気づいたらチームメイトになっていた古川さんとの勝負も強く意識していました。

 

【レース展開】

13'55で申請した速い組だったので、スタート直後から後ろの方に位置取り、スペースを作って走るのがピッタリはまりました。2'50を切るペースに縦長の集団の後方で3400mほどまで何とか食らいついていきましたが、その後臀部が辛くなり脚が回らなくなって失速。1周72秒ペースまで落ちてしまいました。コクもキレもないレースでした。

 

【反省】

目標設定に対するレース運びやペース配分に間違いはなかったと考えています。現時点での課題として、以下の2点があげられます。

①目標(見込みの実力)と現状(実際の実力)との間に乖離がある

②2'50ペースに余裕を持てない

③お腹が張ってた

 

①は現状での実力を見誤っていたということ。レース前の見込みタイムと実際のレース結果とがほぼドンピシャで合致することに自信を持っていましたが、今回は自分の身体との対話がうまく機能しなかったという印象です。

「身体との対話」という点で考えると、「キロ3分で5000mを走る身体」や「キロ3'10でハーフを走る身体」など馴染みのある身体とは長い付き合いで、何度も対話を繰り返しているので、「この状態ならキロ3分で5000mは余裕」などの見込みは正確に立てられるようになっています。

一方で「キロ2'50で5000mを走る身体」とはまだ知り合ったばかりで、どういう状態ならいけるのかがまだよく分かっていません。練習と14'10で走るレース経験を何度か積む中で正確な対話ができるようになりたいところです。

 

②は身体的な課題はもちろんですが、精神的な面で課題を感じています。

3000m8'30に一つの壁を感じているので、それを上回って通過するとそれだけである種満足してしまい、気持ちが切れてしまうことが多いです。前回の早稲田競技会でも同様でした。

「3000mで8'30を切って走れたなら上出来、来た甲斐はある」と考えてしまう視座の低さを克服する必要があると感じています。

学部4年時にも同様の課題に直面し、当時は2000mでの5'40切りチャレンジに練習で取り組むことで克服したと記憶しています。おそらくその後の5000mでの自己ベスト(14'35)にもつながりました。

視座を高くし、8'30を切って通過しても満足しないメンタルを養うために、今後3000mのTTにも取り組んでいこうと思います。当面は8'20切りが目標です。

 

③は原因がはっきりしていない部分です。1週間ほど前から水2リットル以上を毎日飲むようにしており、この日も同じペースで昼過ぎまで水を飲んでいたので、もしかしたらそれが影響したのかもしれません。あくまで推測ですが…。体調を一定に保つところは日常生活の中で改善していきたいです。

 

 

【今後】

次戦は関カレ。2部と同じレースを走れるので、2部の選手に引けを取らないくらいの戦績を残して東大院の存在をアピールしたいですね。

また、今回は古川さんの状態が良くなかったのか1勝を勝ち取ることができましたが、大舞台で結果を残してきた古川さんなら関カレにはばっちり合わせてくると思うので、二人の勝負の行方も気にかけてもらえればと思います。