10/17 箱根駅伝予選会反省(雑感)
<はじめに>
うまくいった要因を考察し言語化して再現性を高めること、課題を明らかにしてさらに上に行くための糧にすることを目的に、試合反省は欠かさないようにしているので書き記します。
何より、人に見られることを意識すると文章構成力が向上する気がするので、自分の考えを書いて多くの人に見てもらうことが好きです。
まだ未熟な大学院生ランナーですが、非強化校の選手などの参考になれば嬉しいです。長くなったので読むのが面倒な方は要約のところだけでもどうぞ。
<結果>
63'48 PB (14'59-15'05-15'03-15'20-3'21) 全体150位
<所感:要約>
・練習状況的に65分切りが関の山だと思っていた
・63分台は想定外過ぎて正直謎、まだまだ自分が理解できていない
・目標タイムをほとんど意識しないボトムアップ的取り組みとHIITがブレイクスルーにつながった?
・内臓を強くすることが課題
・今年中の10000m全カレ標準突破(29'25)を目指します!
<レース経過>
最初の位置取りは難しかったものの、何とか衝突を回避してポジション確保。最初の1キロと3キロ、あとは5キロごとのタイムは確認しました。レースの中で力配分を調節するためのペース確認ではありません。主観的な出力感覚がどのくらいのタイムで現れているか、レース後に成長あるいは退化を確認するためにタイムを確認しました。
最初1キロから15キロまで一貫してキロ3分ペースで進みました。自分の出力感覚を信じ、15キロを余裕を残して通過することを念頭に集団の後方で淡々とついていった結果、「なんかキロ3で走れちゃった」という感じです。残り6キロちょっとでペースが落ちる気が全くせず、その時点で63分台を確信。
ただ、そこから腹の具合の雲行きが怪しくなり、キロ3の集団からこぼれて少しの間一人旅、落ちてくる選手と後ろから追い抜いていく選手を目標に身体を動かし続けました。それでも3'05ペースくらいなら変に力も入らず自然に我慢できました。
ラスト1キロちょっとは腹が耐えてくれることを祈りながら。手元の時計が途中で止まってしまっており、またゴールタイマーを見つけられなかったので自分の記録が分かりませんでしたが、63分台は確信しました。想定外過ぎる会心の出来にご満悦でゴール。
<事前取り組みとの相関:考察>
キロ3で走ることを目指したトレーニングをやってこなかったので、計画取り組みと結果が乖離している印象。コンディションが良かったで片付けられない面があります。去年より力がついたと見るべきか、去年の実力を維持できたとみるべきか、正直よく分かりません。
大学ラストシーズンだった去年と比べて、今年は対校戦などの目先のレースにこだわる必要がなくなり、卒業の余韻に浸る期間を経て3月半ばからのんびりジョグを開始しました。新生活の準備などで忙しく、また箱根ロス気味で気持ちがうまく乗らずに走らない日も多かったです。
4月に本格的にポイ練を始めたものの、すぐに部活や競技場に行って走れない状況になってしまったので、近所の公園や河川敷で人通りが少なくなった夜(20時~21時くらい)に一人でHIITやファルトレク中心に練習を継続しました。トラック練習ができなくなったことで、タイム設定に縛られず主観的に追い込むトレーニングが多くなりました。秋くらいまでレースを走れなそうな雰囲気だったので、冬のレースでしっかり走れるよう、レースに直接的にはつながらないようなベースアップのトレーニングに時間を割く良い機会だと割り切っていました。春先にのんびりしていた影響で少なからず体力レベルが落ちていたので、主観的に追い込む方針は丁度良かったです。
この時期に主観的強度の感覚と向き合ったことが、自分の持ち味である出力感覚を研磨するのに役立ったのかもしれません。また、5キロ先の河川敷まで荷物を持たずに走って行ってポイ練を始める、という都合上、ジョグとポイ練の中間に位置付けているズームフライ(初代)でポイ練をやることが多くなったなど、いろいろな制約がある中での練習が地力を高めたとも考えられます。
6月はちょっとずつ競技場が使えるようになったので、開放している競技場を見つけてできるだけ人が少ない時間帯に足を運び、トラック練習を再開しました。アップダウンの激しい公園や風の強い河川敷で追い込んだトレーニングを継続していたことが良い方向に働いたのか、それほど苦労することなくトレーニングの水準を望むところまで上げることができました。
自分の現在地を測る上で6月17日に行った1000*(4+2)は良い練習でした。去年の予選会前と同じくらいの水準でこなすことができ、実力を維持できていることが確認できました。7月からは暑さと貧血で思うようにポイ練をこなすことができなくなりましたが、県選手権に向けた調整で量もある程度減っていたのでとりあえず高望みをしないで割り切って継続しました。
8月中旬ころから貧血が良くなって身体が動くようになり、HIITを再開。中々良い水準でトレーニングをこなせました。8月下旬に出場した宮古ベイチャレンジ3000mは単独走と強風で記録は出ませんでした(8'49"70)が、このレースに向けて短い距離のトレーニングを積めたことは脚づくりとして丁度良かったと思います。
8月下旬から9月中旬まで、母校の中学校で教育実習を行っていた関係で、この期間はしっかり計画立てたトレーニングはできませんでした。3週間適当に妥協して過ごし体力を落として予選会に臨む世界線もあり得ましたが、それよりはこの期間に逆に強くなって東京に帰る方が面白いだろうと考え、何とか時間の都合をつけて短時間で追い込む方針に決めました。
朝5時前に起きてジョグ、その後学校の7時半からの朝練に参加、Max3'20程度のペースで生徒の引っ張りを行い、放課後の部活で走れれば一緒に走り、19時過ぎに帰宅してから100m坂ダッシュや10kTTjog、30秒*5の全力ダッシュ(死ぬほどきついのでやってみてください)などで30分~1時間で練習を終わらせる、という生活。実習自体ももちろん多忙でしたが、生徒との触れ合いは楽しかったので何とかなりました。
この時点では自分の実力が分からないものの、3'10でハーフを走り切れれば最高、去年と同じペースで走り切れたらミラクル、くらいに考えていました。それくらい先を見据えた計画的なトレーニングはできておらず、その日その日のベストを尽くし、その結果として自ずから積み上げが完成するようなボトムアップ的な毎日でした。
実習終了後帰京。9月21日のMKで想像以上に走れることを確認し、66分台前半を現実的なターゲットとして意識、その上で65分台前半も視野に入っていると感じ、3'05ペースをベースにトレーニングを始めました。とはいえもうやれることはペーランとちょっとのインターバルくらい。あとはしばらく15キロジョグ以上の長いトレーニングがやれていなかったので25~30キロのロング走(キロ4くらい)を2回くらい入れました。
PRで3'05の出力感覚を確認し、調子も良かったのでA目標65分10秒、B目標66分に定めました。結果、目標を大幅に上回る63分台で走ることができたので、自分の実力を見誤っていたことは明らかです。練習の結果からレースタイムを予想する力、正確に予想するための自己理解が足りていませんでした。8000mPR(avg3'05/k)がギリギリできていなかったので、このペースでレース補正がかかってギリギリハーフを走り切れるくらいだと見込んでいましたが、レース補正能力が自分の想像以上であることを思い知らされました。
去年よりも力がついたと見ても実力が維持できていたと見ても、去年が65分前半(≒学生連合ボーダーライン)を強く意識したトップダウン的色合いが強い組み立て方だったのに対して、今年はその日その日のベストを尽くして積み上げていくボトムアップ的色合いが強い組み立て方だったと言えます。この点が大きな違いとして挙げられるでしょう。
去年のレースを今年走っていたらたぶん去年と同じかそれより少し良い走りができていただろうなとも思うので一概にどっちの組み立て方がいいとは言えないものの、ボトムアップ重視の組み立て方が自分には合っているしブレイクスルーするには必要だと感じます。「このトレーニングの効果でVo2maxが向上して~」みたいな生理学的な部分は詳しくないのであまり言及できませんが、主観的に追いこむトレーニングを中心に継続してきたからこそ、春先から着実に力を伸ばすことができたのではないかと思います。時には具体的な数値目標を定めない方が良いこともあるということでしょうか。目標が適切でないと自分の可能性の幅を狭める足枷あるいは檻になりかねません。
<課題>
15キロ~20キロの間のラップの落ち込みが課題。トップ層は落ちるどころかむしろ上げて終わっている選手が多く、逆にそれができないとトップ争いに参加することもできません。15キロ地点で脚に余裕はあり、体力的にはペースを維持無いし上げることもできましたが、内臓にダメージが来てしまい辛くて思い切った大きな走りができなくなりました。ぶっちゃけるとラスト6キロは胃腸の具合悪さとの闘いでした。内臓の弱さも走りの弱さ。ホットジェルを腹に塗っておきましたが、それでもカバーできないくらい走りによるダメージが大きかったです。実際レース後から翌日まで血便が続いてしんどかったです。寒い日や涼しい時間帯にレースに近い強度で走るとお腹を下すことが多いので、どうにかして克服する道を探ろうと思います。その辺の知識があまりないので誰か教えてください。
目下の課題は内臓を強くすること。
<今後>
今年中に10000m全カレ標準29'25を切りたいです。ハーフの水準から考えると十分に現実的な目標になり得ると思います(なお65分11秒で走った同時期のトラックベストは30'24)。ハーフのリズムはかなり身体に馴染む一方、これが2'55くらいのペースに上げると身体が耐えられず持続時間が急激に落ちてしまう傾向にあります。スピードに身体を慣らすこと、HIIT中心で組み立てていくという方針は今までとそこまで変わりません。ただ、10000mという距離を意識してポイ練の量も今までより少し増やしていく必要があると思います。
東大の大学院生でもここまでやれるんだっていうことを修士の2年間で証明してみせます。レースを走れることに今まで以上に感謝して頑張ります。